パナソニックHD代表取締役副社長 本間哲朗
一昨年4月、伊藤忠商事の池添さんから会長のバトンを受け継ぎ、二年の任期を何とか終えることができました。この間、両国政府関係者の皆さん、商会副会長・部会長を始めとする、会員企業のご理解とご協力で、在留邦人の安全安心の問題を筆頭に、さまざまな取り組みにチャレンジすることができました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。
そして、本日の定時総会後の理事会で、皆さんの賛意を頂き、図らずも、第34期の会長に再任を頂きました。昨年、この場で、私は2024年度が商会にとって勝負の年であると申し上げました。今日は過去二年を振り返りながら、次の二年に向けた新たな取り組みについてお話ししたいと存じます。
これまでの2年間、広く会員企業の要望を聴く広聴活動、その要望を整理集約し、中日両国政府にお伝えてしていく渉外活動、そして中日メディアに対し、在中日本企業の取組をご紹介する広報活動を通じ、会員企業の事業活動をお手伝いして参りました。
広聴活動は、大使にもご出席頂いている全国交流会に加え、商会として新たな取り組みとして、景況感アンケートを6回行いました。1500社を超える中国全土の日本企業の生の声を集め、集計し、発表後、地方日本商工クラブへの説明会・意見交換を行い、交流を深めることができました。次の二年では、環境の変化を反映し、アンケートのリニューアルを検討頂きます。引き続き商会と地方日本商工会を結ぶツールとして大切にして参ります。
渉外活動は、この一年、正副会長が分担し、さまざまな場面で中央・地方政府の要人にお目に掛かり、会員の貴重な意見が集約された「白書」を手がかりに、在中日本企業の要望をご説明する姿が定着しました。昨年一月の経済三団体訪中時には李強総理に、そして、今年一月には商務部王文涛部長にお渡し出来たのも記憶に新しいと思います。企業活動でお世話になっている商務部とは、李飛副部長と定期会合を行い、率直な意見交換ができました。我々が練り強く請願した政策に「日本人の短期ビザ免除の再開」が上げられます。この一ヶ月、北京で多くの日本企業経営幹部にお目に掛かりましたが、本施策の成果だと思います。決断を導いて頂いた両国政府関係者のご尽力に心から感謝申し上げます。
活発化した商会活動のおかげで、3月に東京で行われた日中ハイレベル経済対話では、中国日本商会と中国政府各部門の対話を継続に言及頂きました。この事に励まされ、商会は次の二年、日本企業が各業界で抱える課題・懸念事項などについての中国政府各部門への請願の活性化を図ります。従来は、食品、化粧品、電気製品で取り組んでいましたが、今後は、広く日本企業の関心事項である、安全規格、知的財産権や、情報セキュリティ等の拡大を図ります。
広報活動は各種会合の前後に副会長以上で分担し、日中メディアのインタビューに答えるだけで無く、これまで10回の記者会見と、多くのメディアインタビューを実施しました。しかしコロナ禍以降、日本の対中認識ギャップは未だ十分埋まっていません。今まで以上にSNSを活用し情報を発信し、両国メディアとの交流を絶やさず、今後はPRを希望する会員企業と在北京メディアの方々とのマッチングに取り組んでいきます。
皆さんのご理解、ご協力のおかげで、商会の知名度はこの2年で、大きく強化されました。しかし、在中日本企業の事業環境課題は、米国新政権を震源地とし、大きく変化する国際情勢の中で、深刻化する一方です。幸い、昨年10月、石破首相と李強首相の間で、戦略的互恵関係を全面的に推進することが改めて確認されました。中国日本商会は、この様な環境を前向きに捉え、引き続き、経済交流を通じてそのけん引役を果たして参りたく存じます。
先週末、関西・大阪万博が盛大に開幕致しました。私も弊社パビリオンの内見に行ってきました。千数百年に亘る日中関係は、両国間の人的交流で今日まで発展して参りました。会期中、中国館では7月11日のチャイデーを始め、中国各地のイベントが予定されております。これらのイベントへの積極的な参加と、会員企業の社員・家族旅行、お客様向けインセンティブツアーの実施を呼びかけて参りたく、会員皆様のご協力を宜しくお願い致します。
以上で私の挨拶を終えます。今年も会員各社のご協力と日本大使館皆様のご指導を頂き、日本企業のお役に立てる商会を目指して、新たな取り組みを進めて参ります。
(2025年4月16日 2025年度定時総会懇親パーティーでの挨拶)