活動報告

王文涛商務部長と外国商会との意見交換会が開催されました


 

  2022年4月18日(月)、商務部において王文涛商務部長と外国商会との意見交換会が開催されました。

 参加者:日、EU、独、韓、英、中美貿協、中国米国商会、上海米国商会(オンライン参加)の各トップ。当会からは御子神大介会長が出席しました。


概要:

 冒頭、王文涛部長から上海日本商工クラブのアンケートや、EU商会のレターを拝読した、各商会や企業が抱える物流や外国人へのワクチンの問題については認識しているとの発言があった。

 また、王部長は投資の決定のためには、経営トップによるフェイストゥフェイスのコミュニケーションが必要であり、隔離期間の長さがこれを困難にしていると発言した。

 その後、各商会から発言した。


 日本 御子神大介会長

  1.上海のロックダウンの影響

 上海の在留邦人の中には生活必需品や医薬品が不足して生活に困難を生じている者がおります。日本語が通じる市内のクリニック等の一刻も早い再開を期待する声もあります。長期にわたって自宅から出られない者の生活の保障に万全を期していただきたいと思います。

 また、上海の日系企業の工場はすべて生産を停止しています。上海における生産停止は、中国国内だけでなく世界のサプライチェーンに大きな影響が広がりつつあります。サプライチェーンは一度壊れると上海に戻れない可能性もあります。上海,中国でのビジネス環境を維持するためにも,ビジネス面での課題に対処する窓口の設置など、ぜひビジネス面での課題へのサポートをお願いしたい。できるだけ早期の復工復産に向けて、日系企業が実現可能な取組み方策を示し、経済活動の早期再開を図っていただきたいと思います。

 詳細については、上海日本商工クラブの調査をご覧いただければと存じます。

  2.ビザ招聘状

 駐在員ならびに帯同家族のビザ招聘状の発給、ならびにビザ発行数の制限緩和をお願いします。

駐在員の帯同家族の招聘状が北京では未だ受け付けてもらえません。家族と離れて2年近く経つ人もおります。特に小さな子供のいる若い駐在員、今後の日中ビジネスを担う彼らが家族に会えずに精神的に疲弊しています。各社でこのような事例があり、正常な人事ローテーションに影響しています。中国ビジネスを拡大する上で経営者の大きな課題となっています。

 また、駐在員本人のビザ招聘状の申請自体も以前より発給されにくくなっています。緊急性、重要性、代替性がないとの理由で申請が受付られない事例がでてきています。更に、招聘状が出ても,現在、日本にある中国大使館のビザセンターでは,大幅にビザの申請数を制限しており、ビザがなかなか取得できずとても日数を要しています。これらの改善を早急にお願いします。


  3.隔離期間の短縮、北京への直行便の復便


 現在、北京に入るまでに入境後3週間の隔離を大連や青島などの入境地で求められ、更に北京で2週間の自宅での健康観察を求められています。北京に入り自由な活動が出来るまでに計5週間が必要です。この期間を短縮できるよう統合的な防疫措置のご検討をお願いします。また、北京と日本との直行便の復便もこの問題を大幅に軽減する方法になるのでご検討をお願いします。暫定的に,現在も毎日運航している貨物便を活用して,北京から日本への帰国便のみ乗客を認めるなどの方策も検討をお願いします。

 オンライン会議にも限界があり、ビジネスの往来が出来ない為の情報提供の減少により、経営トップの対中国経営判断に影響が出始めていることへのご理解をお願いします。

 

  4.他の外国企業及び中国企業との公平な競争条件の確保


 例えば、2011年の東日本大震災を受けた食品輸入規制は、放射能残存リスクが極めて低いことが科学的に証明されているにもかかわらず、現在も撤廃されていません。

 また、建設・不動産、金融、コンテンツ、煙草・薬・書籍の小売販売等の分野においては、中国企業との間の公平な競争条件が一部確保されていないと認識しています。

 これらの点については、本年6月に発行予定の「中国経済と日本企業 2022年白書」において改めて提言させていただきたいと考えていますが、中国企業等との公平な競争条件を確保していただくようお願いいたします。

  

 

各国の商会 A

 ・昨年10月に商務部と懇談して以来。インターナショナルスクールの教師のビザ招聘状、個人所得税の優遇措置など、外資企業が 外国人専門家を雇うのに必要な要望をし、実現していただいた。

 ・ロシアへの経済制裁の影響が大きい

 ・ワクチンについて、全住民にPCR検査をする費用でmRNAワクチンが購入できる。mRNAワクチンの接種を進めてほしい。

 ・物流は上海周辺都市でも50%が止まっている。危険物も積んだままトラックが停まっている。

  6省市を1つのゾーンにしてその域内であればPCR検査を受ければ自由にトラックが運行できる制度を提案したい。

 ・サービス業以外は国外に移転できる。今後アンケート調査を行う。

 

各国の商会 B

 ・この2ヶ月で世界の状況が変わった。3月末でサプライチェーンの毀損とロックダウンの影響で世界最大の工場は中国にあるが33品目の生産が止まった。東北は地方は物流の停滞が影響している。

 ・ビジネスを続けられる枠組みを作ってほしい。

 ・化学や機械分野で外国人専門家を招聘したが、入国後の隔離とその後のロックダウンで、入国後7~8週間経つがいまだに外に出られていない。

 ・上海の空港は「国際空港」ではなくなった。帯同家族や新規赴任者が来られない状況。

 ・吉林省政府と毎日会議をしている。商務局ともやり取りがあり、意見を聞いてもらえ、フィードバックもある。

 ・外資系中小企業にも減税や金利の減免などの措置がほしい。

 

各国の商会 C

 ・物流は10日ほどの遅れが出ている。原料やサプライチェーンなど。

 ・隔離期間の短縮を望む。

 ・外国製のワクチンを承認してほしい。

 ・文化交流拡大のため、特に若者の交流のため、外国企業が映画、テレビ、舞台などのコンテンツに携わることを認めてほしい。

 

各国の商会 D

 ・先週上海の状況について、フラッシュサーベイを実施。75%が大きな影響があると回答。66%がサプライチェーンに影響があると回答した。

 ・隔離で家族が分かれるのは良くないこと。配慮してほしい。

 ・インターナショナルスクールから多くの教師が去った。新任者がいない。

 

各国の商会 E

 ・何社かすでに中国を離れている。

 ・物流について、運転手のPCR検査後通行証の発行などができないか。

 

各国の商会 F

 ・41日に上海で調査を実施。それから10日以上経ち、上海日本商工クラブの調査の詳細な報告にとても影響を受けた。状況は悪化している。

 ・会員企業にサポート物資の寄付を募っている。武漢では提供できた。上海でも提供したい。

 ・食料などへのアクセス

 ・中国語以外の言語での情報アクセス

 ・mRNAワクチンへのアクセス

 

各国の商会 G

 ・関係省庁と寄付を募り、寄付をコミュニティに送った。特別基金から拠出した。  

 ・サプライチェーン・マネジメント

  上海は本部のスタッフが多い。全中国を管理している。省をまたぐ書類が問題。時間がかかると輸入が止まる、空港や倉庫代がかかる。

 ・生産が止まっている。ビジネスも停止。

 ・人の移動ができない。空港にも行けない。従業員のメンタルヘルスの問題でもある。隔離先のホテルの環境も課題。

 ・外国語での情報プラットフォームを求める。

 ・隔離は、自動車産業、食品産業、航空などに負の影響

 ・コロナの影響を最小化するためにmRNAワクチンを求める。

 

これに対し、商務部側からは次の主旨が表明された。

 ・ダイナミックゼロコロナ政策は引き続き継続する。

 ・生産、物流を止めないように尽力する。

 ・上海では、事業再開のためにホワイトリストを検討。通行証発行などの措置をとる。

 ・mRNAワクチンの承認は、技術的な課題がある

 ・従業員の生活について、外国語での情報提供サービスを図りたい。

 ・市場開放は中国の基本政策。高いレベルで開放している。RCEPに加盟、CPTPPにも加盟を申請している。デジタル経済連携協定にも参加する。

 ・商務部は各商会・企業とコミュニケーションを取る。昨年、インターナショナルスクールの関係で税金還付についての会合を行った。

 ・地方で有力企業と定期的に会合を持っているところがある。商務部も各地の会議に出席している。各商会との定期会合を商務部は行う。

 ・世界は経済制裁とエネルギー危機の中にある。中国は安定している。